7月は、七夕の願い事から始まり、土用の丑の日、ほおづき市や朝顔市、お中元など——夏の香りが一気に立ち上る月です。
子どもの頃、短冊が風に揺れる音を聞きながら“この季節が好きだなぁ”と感じたものです。行事の意味や楽しみ方を知ると、同じ夏でも少し違った景色が見えてきます。7月を、より豊かに味わうお手伝いをいたしますね。
🎋七夕|願いごとを託すロマンチックな夜
七夕は、古代中国の「乞巧奠(きっこうでん)」という行事が日本に伝わったもの。
織姫と彦星の伝説で知られていますが、本来は “手芸や書の上達を願う日” でもありました。
短冊に願い事を書くようになったのもこの流れ。
色の意味があるのをご存じですか?
青は「徳」、赤は「礼」、黄は「信」、白は「義」、黒(紫)は「智」。
笹を使うのは、真っすぐ天に伸びることから “願いが届きやすい” と考えられてきたため。
風に揺れる短冊を見ると、いくつになっても胸が少しきゅっとするものですね。


🐟 土用の丑の日|なぜうなぎを食べるのか?
「夏バテ防止にうなぎ」
この習慣には複数の説がありますが、有名なのは“平賀源内が広めた”というもの。
夏に売れないうなぎ屋から相談され、「丑の日に『う』のつくものを食べると縁起が良い」というキャッチコピーを作ったのが始まりとも。
でも、本質は “季節の変わり目に力をつける” こと。昔から土用は体調を崩しやすい時期とされ、うなぎに含まれるビタミンA・B群が疲労回復に役立つと知られていました。
私は毎年、ほんの少し贅沢して、香ばしく焼かれた蒲焼の香りに包まれる時間を楽しみにしています。あの湯気を見ただけで、身体が元気を取り戻すような気がしてくるのです。


🌺 ほおづき市・朝顔市|江戸から続く、色の香りのような祭り
■ ほおづき市(浅草寺・7月9日・10日)
江戸時代から続き、毎年多くの人が訪れる夏の風物詩。
「四万六千日(しまんろくせんにち)」と呼ばれ、この2日間に参拝すると46,000日、人で言えば約126年分の功徳が得られる とされます。
境内いっぱいに赤いほおづきが並ぶ光景は、夏の息吹そのもの。
私は初めて訪れたとき、提灯の光とほおづきの赤が混ざり合うのを見て、“あぁ、これは写真では伝わらない美しさだな…” と息をのみました。




■ 朝顔市(入谷・7月6日〜8日)
こちらは「入谷の鬼子母神」で開かれる伝統行事。
色とりどりの朝顔が夜明け前から並び、
まだ涼しい朝に歩くと、葉に残った水滴がキラキラ光ってとても涼やかです。
朝顔は“子孫繁栄”を象徴する花でもあり、
贈り物としても重宝されてきました。
ひと鉢家に迎えるだけで、季節の香りがふっと広がるのが好きで、
毎年どれを持ち帰ろうか悩んでしまいます。
🎁 お中元|贈り物に込められた、夏のご挨拶
お中元は、お世話になった方へ “感謝の気持ちを形にして届ける” 日本ならではの文化。
ルーツは中国の三元のひとつ「中元」で、祖先を祀る日だったものが、日本では“贈り物をする習慣”として広がりました。
地域によって時期が違うのも面白いところ。
・関東……7月初旬〜15日
・関西……7月15日〜8月15日
贈る品には「涼」「季節感」「相手が喜ぶもの」が大切とされ、最近ではフルーツジュースや冷たいスイーツが定番ですが、一方で冷房の効いた部屋に長くいるため体を温めるお料理や、夏バテを防止する滋養強壮のある食べ物を贈るのも人気です。
私も贈り物を選ぶときは、相手の顔を思い浮かべながら品を手に取ります。“これは喜んでくれるだろうか” と考えるその時間が、実は一番あたたかいひとときなのかもしれません。
治作の水たきは鶏だけを煮込んだスープで栄養価満点!
7月は、鮮やかな色やにぎわいが一気に広がる月。願いごとをそっと書いた短冊や、うなぎの香り、朝顔の花色…どれも “夏の始まり” を教えてくれます。
少し足を止めて季節の行事を味わうと、不思議と心に風が通るようなんですよね。忙しい日々の中でこそ、こうした風習がやさしく寄り添ってくれるのだと思います。今年の7月も、あなたらしい夏の楽しみを見つけてみてくださいね。
