二月に息づく日本の歳時記
まだ冬の名残が色濃くも、少しずつ春の兆しが感じられる二月。
日本では季節の節目を整え、無病息災や商売繁盛を願う行事が多く受け継がれてきました。節分、初午、針供養、そしてバレンタインデーまで、この月は“祈り”と“愛情”が交差する豊かな文化が息づいています。
料亭でも、春の走りを感じる食材とともに、行事に込められた願いを大切にしております
1、節分とは ― 厄除けと福を招く伝統行事
二月と聞いて最も馴染み深い行事が「節分」。
節分とは「季節の変わり目に邪気を払い、無病息災や幸福を願う行事」で、特に立春の前日(2月3日頃)に行われ、豆まきで「鬼は外、福は内」と唱えて悪いものを追い出し、恵方巻などを食べるのが一般的です。節の行事は年に4回(立春・立夏・立秋・立冬の前日)ありましたが、春を年の始まりと重んじたため、立春の節分が最も重要視されるようになりました。
【恵方巻 ― 福を招く節分の祝い食】
恵方巻(えほうまき)は、節分にその年の「恵方(最も縁起の良い方角)」を向き、願いを込めて一本丸ごといただく縁起食です。2026年は南南東です。
福を“巻き込む”、ご縁を“切らない”という意味から、包丁を入れずに丸かじりするのが特徴です。
七福神にちなみ、具材は七種を入れるのが本来の形とされ、商売繁盛・家内安全・無病息災を願う風習として全国へ広まりました。
治作では、旬の海鮮や職人の手仕事を凝らした恵方巻をご用意し、節分の行事を華やかに彩ります。
2、初午(はつうま)とは ― 稲荷信仰と商売繁盛を祈る吉日
「初午(はつうま)」は、二月最初の午の日に稲荷大神が稲荷山に降り立った日とされ、稲荷神へ祈りを捧げる行事です。
五穀豊穣・商売繁盛・家内安全を願う日として知られ、稲荷神社の使い狐の好物である油揚げやいなり寿司を供える風習が全国に残ります。いなり寿司は、稲荷神が降り立ったとされる伏見稲荷大社の縁日に由来し、神様への感謝や福を招く食べ物として親しまれ、この日に縁起物として食します。
3、針供養とは ― ものを慈しむ心を伝える行事
二月八日は「針供養」。折れた針を豆腐やこんにゃくに刺し、労をねぎらい供養する行事です。
道具に感謝し、ものを大切に扱う日本人の美しい心が受け継がれています。裁縫の上達を願う意味もあり、手仕事を尊ぶ文化が息づく日でもあります。
料亭の料理にも、道具や素材への敬意が宿り、一つひとつの所作に丁寧さが生きています。
4、バレンタインデー ― “愛を贈る日”として広がった現代文化
バレンタインデーの由来は、古代ローマ時代に皇帝の命令に反して秘密裏に結婚式を執り行った司祭「聖バレンタイン」が処刑された2月14日にさかのぼり、彼の愛と勇気を記念する日とされています。日本ではチョコレートを贈る習慣が世界的にもユニークな「愛の告白」の日へと発展させました。元々はキリスト教の「愛の祝祭日」でしたが、中世には恋人たちの守護聖人と結びつき、日本ではチョコレート会社などのマーケティング活動によって「女性から男性へ」という独自の文化が定着したのです。

