Vessels selected with the customer in mind

日本料理は味わいだけでなく、目でも楽しんでいただくもの。器へのこだわりは、先代から受け継がれた想いです。触れた瞬間に、職人の技と想いを感じる器たちを、お客様の顔を思い浮かべながら選びます。国宝級の柿右衛門や輪島塗の見事な椀など、季節ごとに出会える美しい器もお楽しみください。

治作に数ある器の中でも料理長のこだわりで揃えられている「柿右衛門」

酒井田柿右衛門

佐賀県、有田の陶芸ブランドです。

1640年代に初代柿右衛門が赤絵を創始し、白磁の美しさとの調和性を究極まで高め、柿右衛門様式として1670年代に確立。現在は15代が2014年に襲名しています。

米の研ぎ汁のように温かみのある白色の地肌をもつ色絵磁器、柿右衛門の色絵が一番映える素地として創りだされ、その製陶技術は国の重要無形文化財の総合指定を受けています。

主に大和絵的な花鳥図などを題材として暖色系の色彩で描かれ、柔らかく暖かな雰囲気を感じさせる。日本の伝統的な美意識や職人技術を象徴するものとして、今日でも高く評価されています。細やかで美しい色の絵付けはもちろん、手作りで生み出される器には、温かみがあり、薄く繊細な磁器はその感触までもを魅了します。

料理長おすすめコースでは、柿右衛門など貴重な器でお料理をお楽しみいただけます。

切子 KIRIKO

切子(きりこ)はガラスの装飾加工法の名称およびこれによる製品(切子ガラス)を指しています。ガラスの表面に、金属製の回転砥石を研磨剤とともに押しつけて、溝を入れたり研磨することで独特のデザインを施していくいきます。代表的な日本の代表的な切子の工芸品の種類として江戸切子と薩摩切子があります。
西欧文化の伝来を受けてはじまったガラス作りですが、カットの技法も欧州と大きく異なります。欧州のカットガラスが円盤状の工具を回してカットするのに対し、江戸時代の日本の切子は金属の棒に研磨剤をつけて手作業による摩擦でカット文様を作る製法です。この後、明治前期に至るまでこの製法が和ガラスとして作られ続けました。

治作で扱うのは薩摩切子、江戸切子と違い肉厚で重みのある切子です。お猪口だけでなくお料理の器としてお楽しみいただけます。

薩摩切子とは

島津・薩摩藩に江戸のガラス技術が伝わったのは、第27代藩主・島津斉興 (なりおき) の時代です。斉興は加賀屋の腕利きの職人・四本亀次郎を薩摩へと招き、ここから薩摩のガラスの歴史がはじまりました。斉彬は切子を藩の産業のひとつにしようと試み、色ガラスの研究を奨励しました。結果、 紅・藍・紫・緑といった色を生み出すことに成功。中でも赤に発色したガラスは薩摩の紅ガラスといわれるようになり、薩摩切子を代表する色となりました。藩主斉彬の逝去や、激しい時代の波にのまれた薩摩切子は、30年足らずで一度途絶えてしまいます。
終焉から一世紀を経て、ふたたび島津家の手により、よみがえった薩摩切子。島津薩摩切子は歴史を受け継ぐ正式な窯として、当時と同じ鹿児島市磯の地で製造しております。

薩摩切子の特徴は、色の濃いところから中面へいくにつれて段々と色彩が薄くなる、その独特なグラデーションにあります。このグラデーションは「ぼかし」といわれ、透明ガラスの上に色ガラスを被せた分厚い色被せガラスにカットすることで生まれます。故に、重さも大きな特徴です。

欧州のボヘミアングラスなどでは色被せガラスを型取りで作りますが、薩摩切子では吹きガラスに近い作り方で吹き竿にとった透明ガラスに色ガラスを手作業で被せていきます。そのため、色付きのカットグラスの中でも分厚く、重厚なガラスとなります。薩摩藩によって保護・奨励されたからこそできる、贅沢な作り方といってよいでしょう。

お食事、お庭だけでなく器の美しさも是非お楽しみください