広間がリニューアル
広間には現在では手に入れることのできない、作ることのできない設えが多くあります。床柱の百日紅や天井の屋久杉の一枚板に杉の網代天井。この、他にはない設えを残し、今よりも活かしながら現代文化に沿ったデザインにリニューアルいたしました。
床の間の段差に上がってしまうと上席感が際立ち、また基本的には上がらないという文化があるための違和感がありました。その段差を取り除き、百日紅の床柱を活かす造りに。今までの床の間は、全面土壁で掛け軸が欠かせませんでしたが、新郎新婦の背景としても素敵に演出される天然木を設えることで、現代的に掛け軸にこだわることのないデザインに生まれ変わります。天井は照明器具を埋め込むことで目立たなくし、サイドからライトを天井に向けて当てることで網代などのデザインを際立たせ、室内の雰囲気を演出します。
床の間壁デザインについて
つきじ治作の建物に古くからあるもの、今ある変わらないものを活かしつつ、より魅力的に演出するため、日本伝統の技術や木材を使用して、違和感のない新しいものに。まずは「なぐり加工」された板に、日本古くからの色染料「べんがら」を塗り、デザインボードを設えます。これにより、今までマストであった掛け軸もお好みによって無くすことも可能となり、お花や植物の装飾アレンジなど自由度が上がります。
「なぐり加工」門扉や数寄屋建築に欠かせない技法である「なぐり」。丸太や板の表面に、道具の痕跡を残し、それを味わいとしてみなします。元々素材の下処理であったこの技法をデザインとして利用を始めたのが千利休と言われています。
「べんがら」ベンガラは土から取れる成分(酸化鉄)で紅殻、弁柄とも呼ばれ語源はインドのベンガル地方より伝来したことからそう呼ばれています。日本の暮らしに古くから根付いている素材で陶器や漆器、また防虫、防腐の機能性から家屋のベンガラ塗りとして使用されてきました。